焦点 研究計画と必要文献
研究テーマ 面会が患者に及ぼす影響について
会話によるコミュニケーションと態度,行動,感情の変化の解明を中心として
津田 佳世子
1
1東京大学医学部公衆衛生学教室
pp.193-198
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200244
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テーマ解題
まず"面会"という事象が,患者に及ぼす影響をとらえる際に,患者の身体的状態つまり病態生理学的な変化(影響)としてとらえるか,社会心理学的影響として取り上げるかによって,研究の意図と方向は大きく異なる。前者の立場においては"面会"という行動が,エネルギー代謝を強め,神経緊張を強めることにより,呼吸・循環その他の身体的機能にどのような影響を及ぼすか,また面会行動が刺激となり二次的に身体状態をどのように変化させるか,それが患者の病状にどのようにプラス,マイナスの影響を及ぼすか,という点に関心が存在するであろう。そして患者の病状,身体状況からみて,面会を許可するか面会謝絶にすべきか,面会室での面会許可にするかベッド上での面会にすべきか,面会者の人数・時間・内容などについて科学的管理を行なう意図が含まれるであろう。後者においては,患者にとっての面会,つまり対人(相互)関係の意味,役割が大きな意図として含まれる。面会の意味を明らかにし,どのような面会のあり方が,患者にとって望ましいのかを明らかにすることが含まれる。
人間は,人間と人間との交互作用を通じて存在するといわれている。つまり人間は,毎日どんなときでも"他人"(自分以外の個人)と顔を合わせて生活している。親子,兄弟,配偶者,友人,仲間,同僚,上司,先輩,後輩,隣人などとたえず関係交渉しながら生活している。
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