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特集 精神分裂病の診断基準—とくに“Praecoxgefühl”について
第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
分裂病診断における治療者の態度変化
Change of the Therapist's Attitude during the Diagnostic Interview of the Schizophrenics
木戸 幸聖
1
Kosei Kido
1
1日本大学医学部神経科
1Dept. of Psychiat., School of Med., Nippon Univ.
pp.107-112
発行日 1967年2月15日
Published Date 1967/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201151
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I.はじめに
分裂病診断にあたつて,治療者は患者の陳述に耳を傾け,体験症状を症候学的にとらえることを念頭におきながら,同時に,患者との直接的接触によつて得られる患者の人としての印象をも重視して診断のよりどころとする。いわゆる"分裂病らしさ"は,このような診断的態度をとりつつ行なう面接のあいだに,治療者が患者について実感する特異な印象である。
日常の臨床経験から,この実感は,少なくとも,言語によつて伝達しあう意識的水準でのcommunicationを通じてではなく,むしろ,言語的伝達をこえた,いわば半ば無意識的水準でのcommunicationに由来するもののように思われる。しかし,そのcommunication経路については,われわれはなお確かな知識を得ていない。したがつて,ここでは,治療者が患者についていだく対人感情ないし評価を患者と相対したさいの治療者自身の行動変化のなかに読みとるという視点から治療者の側に現われる生理学的変化および言語応対の分析を行ない,"分裂病らしさ"の実感される背景について考察をこころみたい。
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