焦点 各学問領域における調査研究の目的と方法
社会学における調査研究
園田 恭一
1
1東京大学・医学部保健社会学
pp.399-403
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200210
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
調査研究の目的
社会調査というものを社会におけるさまざまな問題や現象を対象とした調査として理解すれば,それは社会学だけではなく,他の社会科学,具体的には経済学,政治学,教育学などで行なう調査も含まれることになるし,更には,調査主体や調査目的を広げて理解すれば,大学や研究機関などが行なうものだけではなく,国家や地方自治体が実施するセンサスその他の調査や企業体や民間団体が行なっている市場調査・世論調査なども含まれることにもなる。本稿ではさしあたり,問題を研究的目的で社会学者が行なってきた調査を中心として考えていくことにしたいが,その際にも福武直も指摘しているように,"実践的な目的をもった調査もそれが真に実践に役だつためには科学的調査でなければならず,科学的調査も,究極的には実践に資するものでなければならない"(福武直『社会調査』岩波書店,1958年,p. 19)ということは忘れられてはならない点であろう。
ところで,これらさまざまな形での社会を対象とした調査研究の必要性ということが促された原因としては,一つには対象としての社会が拡大化し複雑化したという事態があったと言える。それは従前までのような"かん"や"なれ"といったような単なる経験の積み重ねやくり返しでは問題の解決が困難になり,不十分なものになってきたからでもある。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.