焦点 各学問領域における調査研究の目的と方法
社会心理学における調査研究
長谷川 浩
1,2
1東京女子医科大学看護短期大学
2立教大学・社会学部
pp.404-409
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200211
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社会心理学の基本的な性格
本題にはいるまえに社会心理学とはどのような学問であるかを私なりに明確にしておきたいと思う。と言うのは社会心理学の名称がかなり一般に用られておりながら,この学問の性格はいまだにばく然としているからである。たとえば研究テーマには"小集団の諸機能","個人の社会的知覚","社会的相互作用","社会的態度","社会化過程"…などさまざまなものがあるし,方法にしても統計的手続き,心理測定,実験,臨床的アプローチ…その他いろいろな立場がある。
すでに1935年ごろの社会心理学についてSmoke, L.は雑多な立場が存在することを嘆いているが,現在でもその事情はそれほど変わったとは思われない。かつてAllport, G. W.が指摘したように多くの社会心理学書を集めて比較すると,社会心理の名のもとに研究された業績がいかに多様であるかに驚かされるだろう。
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