焦点 隣接諸科学における基礎的文献
社会教育学の基礎的文献
山本 恒夫
1
1淑徳大学
pp.97-100
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200228
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いきなりで恐縮だが,菊地武雄「自分たちで生命を守った村」(岩波新書,1968)という本をお読みになったことがあるだろうか。岩手県沢内村の話だと言えば,あるいは思い出されるかたがあるかもしれない。これは,全国で1,2を争うくらいに乳児死亡率の高かった沢内村を,昭和37年には乳児死亡率ゼロという驚異的記録を樹立させるまでに至らせたのをはじめ,村ぐるみでさまざまな保健活動を展開して村民の生命を救い,健康を増進させた記録である。なぜこのような例を持ち出したかというと,この保健活動には終始社会教育が密接な関係をもっていたからである。たとえば,この保健活動に含まれる衛生・保健知識の普及・伝達は,まさに社会教育活動そのものにほかならなかった。
このような面からとらえてみると,一見なんの関係もなさそうにみえる社会教育が,実は保健や看護ときわめて密接な関係があるように思われる。事実,日常活動の中ではそれと意識せずに,両者はさまざまなところで関係し合っているのである。
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