焦点 看護用具と技術開発
医療における技術開発の動向—ME・コンピューターを中心として
山口 清士
1
1東芝医用機器事業部医用システム開発部
pp.97-108
発行日 1970年4月15日
Published Date 1970/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200172
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はじめに
1969年の社会は経済的にも技術的にもまことに多忙であった。筆者が中学生のころ(三十数年前)は漫画でしかお目にかかれなかった月の世界に,とうとう人間が足を踏み入れたのである。大きな満月を背景にかわいいウサギのもちつき姿は無残にもふみにじられ,神秘的なお月さまも,われわれの現実的な人間の世界に引きづり込まれてしまったのである。技術の進歩に伴って,何もかもが白日のもとにさらけ出されてしまう。しかし,人類社会は好むと好まざるとにかかわらず,複雑化し,巨大化し,洪水のような情報社会に突入していっている。千古のなぞを秘めてきた月面にアポロ11号,12号と2度にわたる宇宙飛行士の乗り入れで1960年代のフィナーレを飾ったが,これはまた1970年代の開幕でもある。
電子工業すなわちエレクトロニクスを中心としたシステム工学の進歩はただちに医療面にも大きな変革をもたらしつつあり,1970年代における医療技術は,めまぐるしく変化することが予想される。もちろん看護の面にもいろいろの変革が現われることになるであろう。
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