技術講座 生理
シリーズ 血流を診る・5
コンピューターシミュレーション
宮崎 翔平
1,3
,
板谷 慶一
1,2
,
宮地 鑑
1,2
1北里大学医学部血流解析学講座
2北里大学医学部心臓血管外科
3早稲田大学先端生命医科学センター
pp.108-114
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104165
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Point
● 近年,心臓血管系の血流の様相を,コンピューターを用いた流体シミュレーションで再現する研究が盛んに行われている.これらは数値流体解析(computational fluid dynamics,CFD)と呼ばれ,循環器系の血流のシミュレーションでも盛んに用いられつつある.
● CTやMRIなどの放射線画像のDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)ファイルをもとに,患者ごとの3次元形状を作成してシミュレーションを行うことも頻繁になされるようになっている.脳動脈瘤や腹部大動脈瘤における壁ずり応力を計算し破裂リスクを解明しようとする試みや,人工血管の至適サイズを血流から判断する試み,先天性心疾患手術において術後の血流を事前にシミュレーションする試みなどがなされている.
● 循環器系の診断のツールとしてCFDを捉える場合に,難しい点が2点ある.1つは,CFDは計算値であるため,どのような計算の過程をおくかをよく考慮しなければならず,また,どのようにして生理学的な条件や生体らしい応答を計算に組み込むかという点である.もう1点は,計算された結果をどのように解釈し,どう読むかということである.
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