研究者とともに
「大都市近郊の各種居住集団に対する保健医療サービスに関する調査研究」をめぐって
東田 敏夫
1
,
藤森 弘
2
,
乾 死乃生
3
,
降籏 和子
4
,
北村 郁子
5
,
小林 富美栄
6
1関西医大公衆衛生学
2大阪大学医学部衛生学教室
3大阪府藤井寺保健所
4大阪府守口保健所
5大阪府枚方保健所
6東京女子医大看護短期大学
pp.119-138
発行日 1969年4月15日
Published Date 1969/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200130
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司会者のことば
個人の生活環境は,健康に関して看護上の働きかけを必要とする状況の発現に関係の深い要因をもつものである。地域社会における工業化・都市化の進展が,家族の生活構造の物的要素,たとえば住居の状況を変革させている。とくに,集団住宅群の出現は,その規模の大小,立地条件などによって規制され,特色のある生活状況を提示するものと推察される。ほとんどの生活機能を有してそれ自体が都市社会ともいえる大規模な団地においてはもとより,その他の集団住居群での生活では,それぞれの住居構造がもつ制約条件に伴って,社会的・経済的属性がある程度類型化されようし,住宅自体のもつ構造上の特性によって,健康に関する因子は,それぞれの集団住居生活に共通なものがみられるのではないだろうか。画一的な構造様式の住居ではあっても,個々の家族や人々の生活のスタイルには独自なものがあるのは当然であろうが,またそれらが互いに影響し合って,何らかの共通性が生ずるということもありうると考えられる。そこで異なった条件をもつ集団住居生活者群において,健康にかかわる状況を分析し,その集団の社会的・経済的属性の特色,生活スタイルと看護の働きかけの必要性の関係を追求し,必要性に対する充足の実践を妥当にする研究方向を求めることが,看護者としての一つの関心事であってもよいのではないかと考える。
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