特集 大都市での活動を模索する
大都市における保健所
細川 えみ子
1
1杉並保健所高井戸保健センター
pp.352-356
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901768
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要約
住民に対して総合的保健サービスを提供できる体制をメリットとしていた政令市・特別区の保健所において,地域保健法の施行をきっかけに組織改正が進められている。しかし,その内容を見ると,保健所の公衆衛生機能についてはほとんど考慮されることなく,単なる保健所数の削減に走っているように見受けられる。
大都市における健康問題は複雑化してきており,環境汚染に墓づく健康不安などもからみ,その対応には高度な知識技術を必要としている。そこでの保健衛生行政が担保すべき公衆衛生機能としては,ヘルスプロモーションなど他分野に広がる政策形成,健康に関わる施策への科学的裏づけ,感染症対策を代表とした規制と危機管理,予防医学サービス提供体制の企画評価などが必要とされる。
こうした中で組織のあり方を考えるとき,企画調整機能や調査研究などの専門機能の持ち方,予防医学サービスと高齢者地域ケアサービスとの関係などとして,論点が整理できる。さまざまな試行錯誤のなかで,公衆衛生機能を保証する組織体制が求められている。
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