特集 保健所活動30年記念特集
これからの保健所
研究報告3
大都市とその近郊の保健計画と保健所機能
保川 圭司
1
,
井田 直美
2
1大阪市港保健所
2大阪府池田保健所
pp.598-602
発行日 1967年10月15日
Published Date 1967/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203551
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はじめに
保健所開設30周年を回顧して,保健所がそれぞれの時代に応じて国民の健康に果たした役割の大きいことは否定できない。とはいえ,科学のめざましい進歩と社会の著しい変化に,保健所が即応してきたかというと,必ずしもそうでなく,その時代に応じて多くの問題をもちながら今日に至っている。それにつれて,保健所の国民保健に果たす役割については再三論議されており,その一つは昭和35年に厚生省が型別運営を示し,さらに昭和38年には保健所運営研究協議会中間報告が行なわれた。しかし,一貫していえることは,わが国の社会はこれまで大部分が農村であり,また農村の人々の健康に多くの問題があったためか,保健所の運営方針もとかく農村むきになされたことである。ところが最近のわが国の社会の移りかわりは,都市化傾向が強くとくに大都市とその近郊に,わが国の総人口が集中する感がある。そこで,保健所開設30周年を迎えるにあたり.大都市およびその近郊では,地域保健計画をすすめていくうえで,保健所はいかなる機能(または役割)をもつべきか,さらに保健所運営を近代化するためにはいかにすべきかについて論じてみたい。
まず本論に入る前に,現在の保健所で最も深刻な人の問題から論じてみたい。いくら保健所の機能を論じ,それに基づく組織または設備を強化しても,その成果はそこに働く人の質・量の整備いかんによって決定するからである。
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