連載 家族社会学・2
制度としての家族
山根 常男
1
1大阪市立大学家政学部社会福祉学科
pp.97-103
発行日 1969年4月15日
Published Date 1969/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200127
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機能的要件と制度
社会が維持・存続されるためには,種々な問題が解決されなければならない。もしこれらの問題がじゅうぶんに解決されないと,その社会は危機に陥り,極端な場合には絶滅する。このように社会の維持・存続のために基本的に解決を必要とする問題を,機能的前提要件(functional prerequisites)あるいは機能的要件(functional requisites or requirements)という。機能的要件としては今までに種々なリストが作られてきたが,これらのリストは準拠点(a point of reference)をどこに置くかによって,二つの種類に分けられる。一つは準拠点を社会あるいは地域社会に置くものであり,いま一つは社会や地域社会だけでなく家族などの集団を含むすべての集合体に置くものである。後者の場合,それはこれらの集合体すべてに普遍的に妥当するものとみなされ機能的肝要件(functional imperatives)ともいわれる。
前者の例としてはアバリーその他(Aberle, D. F.,Cohen, A. K.,Davis, A. K.,Levy, M. J.,& Sutton, F. X.)が提示した九つの機能的要件,ウィンチ(Winch, R. F.)が提案した五つの機能的要件などがあり,後者としてはパーソンズ流の構造機能論者たちが強調する四つの機能的要件がある。
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