焦点 変貌する"家族"概念
解説
家族の現在とゆくえ
山根 常男
1
1駒澤大学文学部社会学科
pp.114-125
発行日 1989年1月15日
Published Date 1989/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201013
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1.核家族化とは
家族といえば,現在の日本では「核家族化」という言葉がすっかり定着している。ところで核家族(nuclear family)という言葉は外国にもある。というよりはむしろアメリカからきた学問用語である。しかし外国には核家族化という言葉はない。強いていえば,家族の核化(nucleation or nuclearization of the Family)という言葉がたまに使われる程度である。一方,日本では,この言葉がジャーナリズムを通して一般大衆の間にも浸透し,いまや1つの常識にまでなっている。
しかし核家族化は,それが一体何を意味するかについては十分な検討もなされず,ただ漠然とした印象に基づいて日本の過去の家族と比較して語られているのが実状である。しかも一般的にいって,この言葉が使われる時,それはとかくネガティヴなイメージで語られ,特に老人と子供に関係しているということができる。
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