総説 実務者の研究と研究者の研究
科学・技術・人間
早坂 泰次郎
1
1立教大学・心理学
pp.194-199
発行日 1968年7月20日
Published Date 1968/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200062
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研究における役割と方法論
おなじく"研究"といいながら,実務者のそれといわゆる研究者のそれとではどこが違うのか,共通点はどこなのかを考えることが与えられた課題である。
この課題には二つの面からの考察が必要である。一つは実務者と研究者とにそれぞれ期待される社会的役割の面であり,他は研究対象へのアプローチ(接近)における方法論の面である。両者はもちろん関連しあっているが,そうであればあるだけ,これらについて明確な区分を見きわめておくことが必要になる。そうでないと,実務者はその立場のゆえに研究者の研究を非現実的であると難じたり,あるいは逆にそれに理由のない劣等感を抱いたりする。反対に,研究者が実務者の研究を常識にすぎないと軽べつしたり,それに理由のない優越を感じたりしがちなのも同じ理由による。
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