総説 実務者の研究と研究者の研究
看護婦→医師→医学者
丸山 博
1
1大阪大学・医学部衛生学教室
pp.200-206
発行日 1968年7月20日
Published Date 1968/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200063
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編集者の手紙によせて
(前略-筆者)『医学書院では本年1月25日をもちまして看護におけるはじめての専門的研究誌「看護研究」(季刊)を創刊し,看護界ばかりでなく,ほかの領域からも,画期的な試みとして大きな期待と注目をよせられております。
主として看護において「研究」そのものが,まだじゅうぶんに認識されていないのではないか,という批判も聞かれます現在では,まず「研究」とはどういうものかを紹介していくのが必要ではないかと思われます。』(後略-筆者)というわけで,表題のような課題で解説をしてほしいという本誌の編集者からの手紙を4月上旬にもらった。私は「自然科学の専門家」の一人と目されたらしいが,それはこれまでの社会通念から医学は自然科学であるとして,私の職場が大学の医学部であることによって,そうみられたと判断した。しかし,平素私は自分の専門の衛生学が医学とともに,いわゆる自然科学のワクのなかにとどまっていてもよいとは考えていない。現在の日本の衛生学は,私自身の研究経歴からいって,むしろ社会科学と強く結びついて,少なくとも,人間科学とでもいうようなワクにひろげなければ発展は望めない,とさえ考えている。
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