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本研究では,インド中部州の2県で活動するAuxiliary Nurse Midwife(ANM)の業務遂行上の体験を明らかにすることを目的とし,25人のANMを対象に半構造化面接法によるフォーカスグループインタビューとin-depthインタビューを実施し,収集したデータを帰納的記述的に分析した。
その結果,ANMが業務を持続する要因について【ANMになった動機】【日常業務のつらい経験】【第三者からの活動の評価】【活動のやりがい】【専門職者としての自信の確保】の5つのカテゴリーと15のサブカテゴリーが抽出された。
〈生活費確保〉という経済的理由および,〈勉学・勤労への意欲〉などを動機としてANMになっていたが,〈過重な業務〉を強いられたり,業務を遂行する上で〈理不尽な事態に遭遇〉し,〈活動に関する自責の念〉を抱くことを余儀なくされるなど,【日常業務のつらい経験】をし,さらに,自らの〈活動の無評価〉や〈家族の仕事に対する無理解〉などの,【第三者からの活動の評価】を得ていた。
他方,ANMは〈住民に信頼されている実感〉を得て,〈自分の指導や指示で住民の健康状態の改善や救命〉を行なう経験を通して【活動のやりがい】を見いだすとともに,自己判断で活用できる基金を得るなど,〈安定した支援の確保〉をするとともに,〈研修による知識・技術の獲得〉を通して業務が改善し,〈安定した活動を確保〉することによって,【専門職者としての自信を確保】するという体験をしていたことが明らかになった。
ANMは,研修などの継続教育で向上した知識や技術および自己判断で使用できる基金を活用して業務を改善し,住民からの信頼を得ることで専門職としての自己効力感を高め,活動の成果をあげることにつながっていたと考えられる。また,ANMの業務内容に則した基礎教育および継続教育の充実とANMの自己裁量の範囲を拡大することの重要性が示唆された。
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