連載 海外レポート
インド・カシミール州ラダーク地方の風土と健康・2
加藤 法子
1
1名古屋保健衛生大学
pp.130-133
発行日 1979年2月10日
Published Date 1979/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206084
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
3.高地の特殊な風土の中で生活する人々の習慣について
冬は厳冬,夏は40℃に近い暑さの中で,人々はそれなりの生活の仕方を心得ていました。ラダーク地方の家々は,現地で入手し易い材料を使ってうまく作られています。石を積み,そのすき間に土をこねて埋め,窓わくとか入口とかとびら等のみ木を使って,あとは石や土で,壁の厚さは30cm位,窓は中の方に引っ込めて小さく作ってあります。中流以上の家庭は2階以上作られていて,1階は家畜小屋,殻物小屋,農具の納屋等にしてあり,2階に居間,ベッドルーム,台所,便所が配置されています。日本とよく似て上座,下座が決っていて,主人が上座に座り,その横に彼の両親等が,そして下座に妻と子供達が座るようになっています。台所は整頓され,合理的に配置されています。そしてダイニングルーム形式で窓側に寄った所に,家族の食事する所が作られており,そのテーブルの上には,いわば"香煎"に似た大麦を妙って粉にした食物の入った美しい器が置いてありますが,これは食事しながら各自作って食べるために置いてあるのです。
火をたくかまどは古来の日本のおくどと形式は全く同じで,土でできていて,上はかまをのせる所が2つ3つあり,たき口は横についていて,火をたけば灰はさなの下に落ちるようになっています。ラダークのはその上に,外側を金属性の板に美しい彫金をこらしたものでかざり,実に凝った豪華なかまどになっています。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.