連載 Words, words, words.─研究と言語─質的研究のために・words 9
区別と名づけ Distinction and Naming
江藤 裕之
1
1東北大学大学院国際文化研究科
pp.348-353
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100794
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今年は「研究と言語」というテーマで稿を進めている。前回は,言語の特徴について,動物の叫び声と人間のことばを区別する点を考えてみた。そして,言語とは人が世界(外界)を認識し,思考し,その考えたことを外に向けて表現する手段であるという見方を示した。もちろん,それは言語の特徴の一面に過ぎない。
私たち人間は,目に見えるものであれ,見えないものであれ,単にものを知覚するだけでなく,それに名前をつけて呼ぶことで,ものを認識するという習性があるようだ。つまり,名前をつけることで,ものの存在を「知る」ということだ。今回は,この視点からことばの特徴についての考察をさらに深めてみようと思う。
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