書評
平易だが深い。看護研究を始める前に必読の書
成田 有吾
1
1三重大学医学部看護学科
pp.333
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100790
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さまざまな臨床研究解説書はある。しかし,これまで,研究の出発点である医療者の「心」と,実際のデータ収集との間にある技法を教えてくれる本はなかった。本書は,この医療者の「心」と「データ収集」の間にある「臨床研究のblack box」についてわかりやすく解説した好著である。本書で扱っているのは量的研究,かつ臨床研究の本質を「比較すること」に置いている。頭の中の作業だけでは不十分であることも強調している。必ず紙やホワイトボードを使うことを提示し,かつ,具体的な臨床研究の「可視化」例を見せてくれる。
「臨床研究のデザインの旅」と銘打った部分では,読者に「臨床研究のリテラシー」習得の解説に,眠くならないような工夫をしている。実践演習として,ある「リサーチ・クエスチョン」を提示し,「研究の基本設計図」を7つのステップに分けて回答させる手法をとっている。各ステップの作業を読者が行ないながらリテラシーを学習させてゆく。
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