Japanese
English
研究と報告
解離性障害における夢と現実の区別困難について
Difficulty of Distinction between Dream and Reality in Dissociative Disorders
柴山 雅俊
1
Masatoshi SHIBAYAMA
1
1東京大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry University of Tokyo, Tokyo, Japan
キーワード:
Detachment
,
Dissociative disorders
,
Depersonalization
,
Dream
,
Reality
Keyword:
Detachment
,
Dissociative disorders
,
Depersonalization
,
Dream
,
Reality
pp.1293-1300
発行日 2006年12月15日
Published Date 2006/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100805
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抄録
夢と現実の区別困難について解離性障害の患者53名と対照群57名を対象に調査した。解離性障害にみられる夢と現実の区別困難を,①現実が夢のようである,②夢が現実のようである,③過去の記憶が事実なのか夢なのか判断しがたい,の3つに分類し,それぞれについて精神病理学的観点から論じた。解離性障害では今・ココを起点とするパースペクティヴperspectiveの成立不全が示唆される。それはまたパースペクティヴの起点・要になる私の成立不全をも意味している。同一性の拡散した私は,並立化し等質化した世界の知覚対象や記憶表象,空想表象,夢の表象との1対1の無媒介的・直接的関係を通して深く没入し,没入した世界によってあらためて私が構成されることになる。このような,知覚-表象や現実-夢などの並列化に加え,パースペクティヴの両極構造とそこにおける循環的関係は,解離性症候の基底に存在する病態構造の一つと考えられる。
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