Japanese
English
特集 社会性と脳
マカクザルの自己認知と自他区別
Self-cognition and self-other differentiation in the macaque
磯田 昌岐
1
,
宮崎 美智子
2
Isoda Masaki
1
,
Miyazaki Michiko
2
1自然科学研究機構生理学研究所認知行動発達機構研究部門
2大妻女子大学社会情報学部
キーワード:
自己鏡像認知
,
自他区別
,
マカクザル
,
行為
,
内側前頭前野
Keyword:
自己鏡像認知
,
自他区別
,
マカクザル
,
行為
,
内側前頭前野
pp.24-28
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200747
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自己理解や他者理解を含む様々な社会的認知機能の発達過程は,これまで発達科学や比較認知科学によって明らかにされてきた。近年は,脳機能画像研究との連携が飛躍的に進み,社会的な心理過程と脳領域との非侵襲的な対応づけに成功している。しかし,ヒトの脳機能画像研究で同定された脳活動の実態を解読するためには,神経活動を高い時間・空間解像度で解析できる,霊長類動物を用いたシステム神経生理学研究も重要な役割を担えるはずである。霊長類動物は,単に社会的な動物であるだけでなく,進化的にヒトと近縁であるうえ,ゲノム構造,脳の機能構造,脳による認知行動制御においてヒトと共通なしくみが多いことが知られている。本稿では霊長類動物,特にマカクザルの自己認識や自他区別に関する最近の知見を紹介し,社会的認知機能の脳内メカニズムを明らかにするモデル動物として,マカクザルが優れていることを述べてみたい。
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