特集 緑内障Today
Ⅲ 薬物治療の実際
治療を始める前に
松元 俊
1
Shun Matsumoto
1
1東京逓信病院眼科
pp.89-91
発行日 1996年10月20日
Published Date 1996/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905100
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「縁内障」という病気を患者が理解することの重要性
緑内障は初期にはほとんど自覚症状がなく,偶然の眼科受診やドックでの高眼圧・視神経萎縮の指摘によって見つかることが多いという特徴がある。だから,初めて緑内障を指摘された患者は「緑内障であること」を受け入れるのに時間を要する場合が多い。しかも,「緑内障」は「白内障」ほど一般にポピュラーな疾患ではなく,白内障と混同されて「手術すれば簡単に見えるようになる」と軽く考えられているか,あるいは逆に「緑内障」イコール「失明」と捉えていて,癌の宣告をされる以上のショックを受ける場合が多い。多くの緑内障は慢性疾患であるので,検査・治療に長期間を要することが多く,患者自身が途中で通院・治療をあきらめないためにも,自分の「緑内障」を過不足なく理解することは極めて重要である。そのためには,その患者が「緑内障」であるか否か,「緑内障」であるとすれば「急性」か「慢性」か,隅角は「開放隅角」か「閉塞隅角」か,現在視神経萎縮はどの程度進行しているか,などといった「治療方針と予後判定」の判断材料となる情報をわかりやすく,繰り返し説明する必要がある。そのためには,特に初診時や診断確定時になるべく時間を取って病状の説明に当てるべきである。
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