書評
文献レビュー「マトリックス」空間で創造的な論文を作成
石原 逸子
1
1神戸市看護大学
pp.475
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100687
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筆者は,総説や研究論文の執筆,科学研究費の申請時に,当初集めておいた文献リストから必要な論文を探し出すのに戸惑うことが多い。また,文献リストを前にして,上手に分類化しいつでも使えるようにしたいと願ってはいるが,文献をまとめるために時間を割きたくないとも思っている。しかし,この本を読み進んでいくうちに,このような考えは間違いであることに気づかされ,また,いい論文を書くためには文献レビューのプロセスこそ省略してはならないという認識を新たにした。
書籍の中で,著者のGarrard氏は,「大学院を含めてどの段階の教育プログラムにおいても,文献レビューの体系的な整理方法と実施方法についての正式な授業はほとんどされていない」(p.5)ことを指摘している。確かに,日本の教育機関においても実態は同様である。本書は,この点について電子ベース方式で科学文献をレビューする方法を手ほどきしてくれる。具体的には,マトリックス方式として4つの文献レビュー基本ホルダーを活用し,特定のテーマに関する学術的な資料を読み,分析し,総括を書くことで文献レビューを完成される方法である。これらの基本ホルダーは,以下のように構成されている。①ペーパー・トレイル・ホルダー(どのようにして文献を検索したのかのメモ書きと場所記載),②文書ホルダー(レビューに必要な文書をコピーやPDFファイルとして保管する),③レビュー・マトリックス・ホルダー(②の文書を要約し集計表に必要な情報を記載する),④総括ホルダー(文献レビューをまとめ執筆)
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