Japanese
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特集 細胞核
総説
核膜と核マトリックスの構成と機能
The biochemistry of the nuclear envelope and nuclear matrix
上田 潔
1
,
中安 博司
1
Kiyoshi Ueda
1
,
Hiroshi Nakayasu
1
1滋賀医科大学生化学第2講座
pp.38-46
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903517
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真核細胞と前核細胞との差異は,なによりも前者において,遺伝物質を中心とする細胞の上部構造が核膜に包まれ,細胞質と区分されていることである。したがって,核膜とそれに連なる核内構造物の問題は,真核細胞の細胞生物学的および分子生物学的特徴を解明・理解するうえで避けられない課題にあげられる。
ウニ卵母細胞における核膜の形態的特徴は,Afzelius(1955)1)により初めて明らかとなったが,その核は二重膜に包まれ多数の核膜孔が貫いていた,このような構造が核膜の一般的特徴であるが,核膜そのものの存在は電子顕微鏡が使える以前から顕微解剖により確かめられ,核の形態はこの膜で支えられているものと考えられていた。ところが最近にいたり,二重膜をはがした後にも核がその球状形態を保持し,核マトリックス(nuclear matrix)とよばれる構造物がこれを支えており,核膜の機能にとって重要と考えられる核膜孔装置(pore complex)もそこに残ることが判つた。
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