特集 質的研究を学び合う JRC─NQRの実践
言説分析について
永田 明
1
1天理医療大学医療学部看護学科
キーワード:
言説
,
言説分析
,
社会構築主義
,
再帰性
,
脱構築
Keyword:
言説
,
言説分析
,
社会構築主義
,
再帰性
,
脱構築
pp.243-247
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100651
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はじめに
本稿では,看護学領域の研究ではあまりなじみのない言説分析(Discourse Analysis)について,理論的背景と具体的な研究方法,そして看護学研究への適用について述べる。
筆者は,移植医療に関する研究に取り組む過程の中で,「臓器提供=いのちの贈りもの」という言葉を時々耳にして違和感を抱くようになった。「いのちの贈りもの」という言葉は,我々に「移植は医療技術がもたらした人道的営為である」と認識させるのに十分に魅力的な言葉である。実際に臓器提供によって救われた患者は多く,その人々にとって「いのちの贈りもの」である可能性を否定する余地はない。
しかし,生体移植ドナーという側に目を向けてみると,ドナーの中には移植の過程の中で身体的にも,心理社会的にもさまざまな問題を抱えるのも事実である。「臓器提供=いのちの贈りもの」という言葉によって,生体ドナーの問題を露呈させにくくしているのではないかと考えたことが,言説分析を注目したきっかけである。
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