Japanese
English
総説
開業助産師の周縁化をめぐる言説
Discourse Concerning The Marginalization of Midwife Practitioners
鈴木 祐子
1
,
岩﨑 和代
1
Yuko SUZUKI
1
,
Kazuyo IWASAKI
1
1東都医療大学ヒューマンケア学部看護学科
1Tohto College of health Science
キーワード:
開業助産師
Keyword:
開業助産師
pp.1-7
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7011200067
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目的
現在、開業助産師の絶対的数が減少し、病院やクリニックなどでの出産が多数を占めている状況は、開業助産師のもつ強みが広く認知されていないからだと考えられる。その背景にあるものはなにか。結論からいえば、出産における「自然」が後景化したこと、また出産習俗が失われていったという2点の理由が、上記の現象の背景にあるのではないかと考え、文献を通して明らかにする。
対象と方法
文献検討である。藤田真一の「お産革命」を筆者は助産師の役割の後退の転換点と考え、「お産革命」と言うべき現象を言及している書籍、論文などを抽出し、その言説を概観した。
結果
開業助産師の周縁化は、出産における「自然」が後景化したこと、また出産習俗が失われていったという2点が影響していたが、それだけではなく、「自然出産の文化的進化」「出産の多義性」「痛みを回避するという医療サービス」など当事者の意識や身体の変化、助産師自身の意識の変容が価値観の変化を生み出し、影響し合っていた。
考察
「お産革命」で語られた出産に関する自然回帰は、医療化され出産で人間関係が稀薄な状態や出産する母親の意識に対する警鐘であったといえるが、開業助産師は産む性に寄り添い、母親が主体性を促していく活動を続けていた。また「母親になる」ための通過儀礼としての出産習俗が失われたことは、重要性が認識されなかったことと、医学的根拠が乏しいという理由で出産現場に積極的に導入されていないが、開業助産師はこの役割を担ってきたのではないかと考えられた。
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