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看護と工学の出会い
金井(司会) 私は以前から,学生の技術教育をどうしたらうまく行なえるかに興味がありました。教育に活かせるツールとしてITなどにも大きな関心をもっていたところ,子どもがゲームに集中する姿をみて「何だろう?」と思いました。「やめなさい」といっても聞かないほど集中できるなら,学習もそういう感覚でできれば効率的だし,楽しいのではないか。それが最初のきっかけとなり,加速度センサを用いた看護技術教育支援システムの研究につながっていきました。本日は,この研究を共同で行なっている方々にお集まりいただき,それぞれの立場から,看工連携の意義と可能性を探っていきたいと思います。まずは,研究領域や関心について聞かせてください。
桑原 私は,現職の前はATR(Advanced Telecommunications Research Institute International;株式会社国際電気通信基礎技術研究所)の知能科学研究所に勤務しており,そのとき初めて人間の行動計測にかかわるようになりました。背景には,当時,医療事故や医療過誤がマスメディアに頻繁に取り上げられていたことがあります。医療現場を透明化してトレーサビリティを高めることを目的に行動計測技術への関心が高まり,ウェアラブル・コンピューティング(wearable computing)註1やコンテクスト・アウェアネス(context awareness)註2という,人がどのような文脈のなかで行動し活動しているのかを計測する技術を活用し,医療現場スタッフの行動を可視化しようというプロジェクトが発足したのです。そのなかで,現場で活用でき,使いやすく,むしろ使っていることを意識させない機器を開発していくことになりました。現在は,計測したデータをどう分析するかを研究しています。
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