連載 質的研究を科学する・4
理論的アイデアをモデルに組み込めるのか?
髙木 廣文
1
1東邦大学医学部看護学科
pp.299-303
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100376
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テクスト解釈と「当たり前問題」
これまで述べたように,質的研究の結果に対する批判のなかで,しばしば聞かれる言動として,「こんな結果は当たり前ではないか。やらなくてもわかっていることだ」というものがある(髙木,2009b)。このような批判が生じる理由として,人間の心・脳内にラング(言語)として構築されるシステムは,同一もしくは同型だからであり,逆にこのような言説の存在自体が,テクスト解釈の共通了解の可能性を強く支持するのではないかということを前回指摘した(髙木,2009b)。
この「当たり前問題」(ここではこのように呼ぶことにする)は,質的研究の本質であるテクスト解釈にとって極めて重要と考えられるので,もう少し議論を進めておきたい。
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