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はじめに
筆者らが,Walker & Avant(2005/中木・川﨑訳,2008)の『Strategies for Theory Construction in Nursing』(『看護における理論構築の方法』)およびFawcett(1993/太田・筒井監訳,2008)の『Analysis and Evaluation of Nursing Theories』(『看護理論の分析と評価』)をはじめて手にしたのは,大学院で学んでいたときのことだった。「理論を理解するためのバイブル」とも呼ばれていたこれらの書は,実は,修士課程にいた頃には,なんだか難解で,何に役立つのかもよくわからず,ただ手にとって「見た」だけで終わってしまっていた。ところが,博士課程で研究活動をはじめるとき,まず研究テーマを吟味する最初の段階から,これらの書無くしては研究をはじめられなくなってしまったのである。「自分が取り上げようとした現象はどういう概念で説明できるのか?」「この理論や概念にはどんな基盤があるのか?」「本当に研究に取り入れられるもの?」などなどの疑問を解決して研究を進めていくためには,概念分析や理論分析が必須であった。また,自分の研究は理論開発をめざすものなのか,理論検証をするものなのかなど,研究の位置づけを明確にするためにも,これらの書から学ぶ必要があった。
しかし,博士課程で学ぶことを待たずとも,研究を手がける修士課程から,概念や理論を十分に吟味することは重要なのではないかと考える。欧米の看護系大学院においては,これらの書はまさに必須テキストとなっており,研究活動を進めていく上での基礎を示してくれるものとなっている。そこで本稿では,これら2つの書をもとに,研究活動(特に大学院生などの研究初学者)にどのように役立てることができるのかを述べたい。
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