焦点 看護に活用するレジリエンスの概念と研究
扉
藤原 千惠子
1
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
pp.2
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100349
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レジリエンスという概念が使用されるようになったのは,1970年代頃からである。心理学領域では,ストレスから生じるネガティブな側面に焦点を当てた研究が進められてきたが,人間には過酷な環境や状況のなかでも,それに負けず前向きに進んでいく力が存在する,つまりポジティブな側面にも目を向けようとする動きが,最近みられるようになってきた。レジリエンスへの注目も,その流れの一部ではないかと考えられる。
医療の現場では,さまざまな健康障害によって過大なストレスが生じ,苦悩する人々が多く存在する。しかし,そのような人々のなかには,ストレス状態に屈することなく,厳しい現実を受けとめ,自らの力で立ち直る強い意志と力をもつ人も決して少なくない。我々は,そのような人々について説明できる概念として,「レジリエンス」に注目し,2003(平成15)年より科学研究費補助金を得て研究を重ねてきた。
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