今月の主題 新規経口抗凝固薬の光と影
扉
後藤 信哉
1
1東海大学医学部内科学系循環器内科学
pp.947
発行日 2012年6月10日
Published Date 2012/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105979
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日本人は新しいもの好きな民族である.明治維新とともに新規の西洋文明を一気に取り入れ,急速に近代化したのも,民族として「新しいものを取り入れることが好き」という特性があったからであろう.第二次世界大戦前後の日本における思想の転換の早さをみても,日本人が「新しいものが好き」との特性を持っていることがよくわかる.「新しい」ものは多くの場合「古い」ものよりもよく見える.新規経口抗凝固薬は「新規」とあるように「ワルファリン」よりも新しい.新規経口抗凝固薬の登場とともに,新しいもの好きの日本の医師たちは明治維新とともに「刀」が捨てられたようにワルファリンを捨てるのであろうか?それとも,見かけは欧化しながらも「武士道精神」を長らく維持したようにワルファリンのよさも認識して使い続けるのであろうか?
筆者は医療においても思想においても保守的である.若者に読書を勧める時には,最近の芥川賞受賞小説を勧めるよりも,古典文学を勧める.ギリシャ神話,トルストイ,ドストエフスキーに代表されるロシア文学,スタンダール,バルザックに代表される19世紀の古典文学には時代を越えた価値がある.時間という試練を経て現代に残っているものには試練を乗り越えるだけの価値があるのだ.
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