書評
臨場感あふれる紙上ゼミでグラウンデッドセオリーアプローチがより身近に
高木 廣文
1
1東邦大学医学部看護学科
pp.491
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100339
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本書は,グラウンデッドセオリーアプローチ(GTA)の実践的な理解を得るために,2005(平成17)年9月に出版された著作を大幅に修正・加筆した増補版である。すでに旧版がGTAの入門書かつ実践書として高い評価を得ており,いまさら余計な書評は不必要かとも思われるが,質的研究を,適当にではなく,正しく学びたいという人のために,簡単に紹介したい。
編者である戈木氏が述べているように,本書は質的研究の初心者(自信のない者を含む)および質的研究の教育担当者を読者に想定している。実際のゼミを土台にしているため,GTAが極めてわかりやすい方法であると実感できる。その理由は,学生のデータ解釈における失敗例が,成功例(恐らく)とともに記載されているからである。上手くできた例は,案外と理解しにくいものであるが,失敗例は現実に自分でもやりそうなことであり,かえって学ぶべきことが多いものなのである。
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