焦点 アリゾナ大学大学院博士課程におけるオンライン教育の実際
扉
林 さとみ
1
,
金井Pak 雅子
2
1国際医療福祉大学小田原保健医療学部
2東京女子医科大学看護学部
pp.262
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100314
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Pamela Reed(1997)*は,看護の存在論として,「人々の健康・幸福・福利に対する看護プロセスの探求である」と定義している。社会の急速な高齢化,生活習慣病の増加,生活様式の多様化,看護師不足,医療費の高騰など多様な問題を背景とする今日において,看護学という学問分野は,人々や社会の健康・幸福・福利に関わるさまざまな要求に一層応えていくことが求められている。高等教育機関における看護専門分野の学識者は,専門的知識の開発・発展・教育・普及に向けてリーダーシップを発揮していかなくてはならない重要な役割を担っており,そのような専門職者を育成するために,今日提供されている専門的知識・技術教育のあり方を評価・検討することは非常に重要と考えられる。
アリゾナ大学College of Nursingでは,2003年秋から,看護学研究科博士課程においてオンライン教育を導入している。オンライン教育は,最新のコンピュータ技術と情報技術を駆使し,時間的制約や地理的問題(通学の困難),経済的問題(学生に戻るために仕事を辞めざるを得ない)などの諸問題やニーズに呼応して学習にアクセスしやすい環境をつくるとともに,オンラインならではの高度かつ多彩な教育プログラムを提供する,学習者主導の先駆的教育方法である。本プログラムを通じて,能動的・積極的・自主的に学習に取り組む力を培い,博士課程で学ぶ者であるからこそ具備すべき看護の知や哲学を深く涵養できる。博士課程を修了した研究者や教育者,また臨床家にとっても学ぶ意義は大きく,専門職者に対する社会のニーズに応えるためにも注目されている。
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