焦点 理論の開発・活用のための中範囲理論―看護知識の構造から考える
【中範囲理論開発に向けた概念分析】
3つの概念分析のまとめ
林 さとみ
1
,
星 美和子
2
,
金井Pak 雅子
3
1東京有明医療大学看護学部看護学科
2札幌市立大学看護学部
3東京有明医療大学看護学部
pp.151-155
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100432
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理論構築は創造的なプロセスであり,理論構築者の直感的な着眼に基づいて始められることが多い。また,理論構築に一定の規則は存在せず,1つのアプローチや方法に縛られては,理論開発を成功へ導くことにならないともいわれている(Walker & Avant,2005/中木・川﨑訳,2008)。しかしながら,貧弱な着想のみに固執したり,間違った方法で闇雲に探求したりすることでは,有用性の高い概念や理論は開発できない。「何かを真に理解するためには,わたしたち自身の価値観や先入観を一時的に脇において,分析対象を客観的に眺めなければならない」(Walker & Avant,2005/中木・川﨑訳,2008,p.234)といわれるように,概念や理論の開発には,現状を客観的に知るための文献検索と選択された文献の丁寧かつ系統的で批評的な検討が必要である。
今回,「risk perception(リスク認識)」(林),「スピリチュアリティ」(星),「ワーカーエンパワーメント」(金井)という3つの概念に関して3人がそれぞれに行なった概念分析のプロセスを紹介した。林の論文は,著者の主要概念に対する概念精査の概要を中心に述べている。星と金井の論文は,各自の主要概念である「スピリチュアリティ」「ワーカーエンパワーメント」に対する概念分析を,WalkerとAvantが提唱する8段階のプロセスに沿って述べている。
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