焦点 理論の開発・活用のための中範囲理論―看護知識の構造から考える
扉
金井Pak 雅子
1
1東京有明医療大学看護学部
pp.86
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100423
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“middle range theory”という用語が看護界で聞かれるようになってから久しい。看護界のいわば通例としてその用語は日本に輸入され,その名のとおり“中範囲理論”として紹介された。すると,「また何か新しい理論が出てきた」「中範囲とは一体何を指しているのか? どういう範囲なのか?」などという疑問も聞かれるようになった。現在“中範囲理論”という用語は我が国でも定着し,その重要性が叫ばれているものの,では中範囲理論がいかなるものであり,その重要性はどこにあるのかという点について,統一された見解が見いだされているとはまだ言い難いのが現状ではないだろうか。
中範囲理論の開発には,そのもととなる概念分析が不可欠になるのはいうまでもない。Walker, L.O. & Avant, K.C.の『Strategies for theory construction in nursing』は,理論構築の意義と方法について理解するための書として有名だが,その第4版(2005)が2008(平成20)年,『看護における理論構築の方法』(医学書院)として翻訳され,本焦点を企画するきっかけとなった。中範囲理論の開発をめざすためには,理論とは何か,概念とは何か,そして理論を構築していくための概念分析がいかに重要かといった点を,まずは十分に理解しなければならない。
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