連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・102
保護のジレンマ
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Center
pp.892-893
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102315
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マザーテレサの施設で保護を受け,瀕死だった重度の栄養失調の子どもが回復する。骨と皮しかなかった子どもが普通に走れるようになり,微笑む。それは感動的で,奇跡的ですらある。でも施設は一時的な避難場所でしかなく,元気になれば親元へ返されてしまう。その親がたとえネグレクトで子どもを殺そうとしていても,誰が見ても保護能力がないと思えても,虐待として刑事訴訟になり親が投獄でもされない限り,子どもが戻る先は元いた自宅である。法的に規定されているはずの行政の保護も,実際には機能していない。
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