発行日 2015年9月20日
Published Date 2015/9/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2016064848
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
【目的】本研究の目的は、遺族が遺体へのケアを看護師と一緒に行った体験と評価を明らかにすることである。【方法】ホスピス・緩和ケア病棟103施設の遺族958人を対象とし、2010年7月に質問紙調査を行った。主な調査項目は、家族の遺体へのケアに対する体験と評価である。すべての研究参加施設の倫理委員会の承認を得た。【結果】597人から有効回答を得た(62%)。遺体へのケアを看護師と一緒に行った家族は39%(223名)であった。ケアを行った遺族の満足度は89%であった。ケアを行った体験は、探索的因子分析の結果、「感謝、ねぎらい、思い出の想起」「死別を受け入れる時間」「達成感の獲得」「戸惑い、不安、つらさへの影響」の4つのカテゴリーに分類できた。【結論】家族が看護師と一緒に遺体へのケアを行うことは、故人への感謝、ねぎらい、思い出の想起や、死別を受け入れる時間、ケアの達成感という点において、肯定的な体験としてとらえている。家族に遺体へのケアを一緒に行うよう勧める際には、目的や方法の説明と無理強いしないことが必要である。家族の戸惑い、不安、つらさへの影響には、遺体の傷や腫瘍、治療の跡、陰部が露出しないような配慮が必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2015