焦点 Instrument Developmentの研究
解説
STAI(The State-Trait Anxiety Inventory)について
曽我 祥子
1
1兵庫医科大学心理学研究室
pp.107-116
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200787
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はじめに
STAI(the State-Trait Anxiety Inventory)とは,不安を状態不安と特性不安の両面から測定することを目的として,1970年にC. D. Spielbergerらにより開発された質問紙法による不安尺度である。
日常的な意味での不安とは,落着かぬこと,筋緊張亢進,心悸亢進,息切れ,めまい,疲労感,不眠などの生理的随伴現象を伴った漠然とした恐れ,と理解されており,恐怖と異なり,特定の対象がなく,あるいは対象があいまいで,攻撃よりは無力感を伴い,不合理性をもち,ある期間持続する情緒的な状態である,と考えられている10)。このような不安は,多かれ少なかれ,すべての人間に体験され,精神生活の重要な部分に影響するものとして,人間の心的生活を理解する上での興味深い研究対象として見られてきた。
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