Japanese
English
焦点 看護研究と現象学的アプローチの動向
看護学と哲学をつなぐもの
Between Philosophy and Nursing
鷲田 清一
1
Kiyokazu Washida
1
1大阪大学大学院
pp.409-420
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100106
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まず最初に,愛知医科大学大学院看護学研究科の開設を心よりお祝い申し上げます。私にとってうれしく感激しましたのは,「現象学的看護学」の講座が設置されていることです。私は若い時から現象学という方法を基盤にして世界や私たちの経験について論じ,書いてきましたので,現象学への思い入れがとても強いのですが,哲学の領域ですら「現象学」の名がつく講座はないと思います。日本ではじめて「現象学」という名を冠した講座ができ,胸がいっぱいになる思いです。
現象学は,1900年にエドムント・フッサールが『論理学研究』という本のなかではじめてその言葉を使って有名になり,その後いろいろな考え方に枝分かれしていきました。そのため,現象学という言葉のなかに包含されているものはとても広く,ある立場の方からすれば「こんなものは現象学にはならないよ」というような論争もしばしば起こりうる種類のものです。でも,そのいちばん基礎にある考え方がおそらく共有されているからこそ,現象学という名前がいまも哲学的なものの考え方のスタイルの1つとして働きつづけているのではないかと思います。
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