Japanese
English
焦点 看護安全への認知的アプローチ
経験が教える危険―リスク認知における職業経験・スポーツ経験の効果
Experiences and Risk Perception: Effects Of Career And Sports Experiences
重森 雅嘉
1
,
原田 悦子
2
Masayoshi Shigemori
1
,
Etsuko Harada
2
1鉄道総合技術研究所人間科学研究部心理・生理研究室
2法政大学社会学部
キーワード:
リスク認知
,
リスクテイキング
,
職業経験
,
スポーツ経験
Keyword:
リスク認知
,
リスクテイキング
,
職業経験
,
スポーツ経験
pp.159-165
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100084
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安全行動の必要条件
事故を防止するためには,1人1人が危険を避け,安全な行動をとることが大切である。もちろん,失敗そのものができないシステムや失敗しても事故につながらないようなシステムを作り上げることも大切である。しかし,多くの産業や日常のなかでは,完全なシステム的バックアップは不可能である。したがって,今後も事故防止を個人の安全行動に頼っていかざるを得ない部分は多いと考えられる。
ある場面で安全行動をとるためには,その場面に存在する危険(リスク)に気づかなければならない(リスク知覚)。芳賀(2000)は,このような行動のプロセスを図1のように示している。
このモデルは,人がリスク回避(安全行動)をとるか,リスクテイキング(不安全行動)をとるかの意思決定が,その前のリスクの知覚(危険の気づき)をもとにしたリスクの評価によって決まることを表している。もちろん,危険に気づけば必ず安全行動をとるとは限らず,気づいていても不安全行動をとる場合もある(蓮花,2000)。しかし,少なくとも危険に気づかなければ,意図的に危険を避けることはできないはずである。逆に考えれば,置かれた場面で,より多くの危険に気づくことができれば,危険を避け安全な行動をとる機会がそれだけ増えるのである。
それでは,どうしたら,より多くの危険に気づくことができるようになるのだろうか。
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