特集 「私のからだは私のもの」から始める初期中絶のケア
人工妊娠中絶の背景にある「予期せぬ妊娠」と性暴力被害—助産師による支援を考える
水野 真希
1
1駒沢女子大学看護学部
pp.522-528
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202360
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全妊娠の半数を占める「予期せぬ妊娠」とは
「予期せぬ妊娠」とは,希望していた時期より早すぎるもしくは遅すぎる妊娠,いわゆる「タイミングを間違えた妊娠」(mistimed pregnancy)と「望まない妊娠」(unwanted pregnancy)に分類されます。国連人口基金は,世界で毎年約1億2100万人の予期せぬ妊娠が発生しており,全妊娠の半数を占めていると報告しています1)。筆者が日本で2015年に行った調査では,出産予定の妊婦の約23%は予期せぬ妊娠と回答し,その中で「望まない妊娠」と回答した人は約9%でした[図1]2)。米国の調査では,望まない妊娠は,タイミングを間違えた妊娠よりも母子への悪影響が大きくなることが報告されています3)。
予期せぬ妊娠をした約60%の女性は人工妊娠中絶(以下,中絶)をしています1)。また予期せぬ妊娠をした女性は,貧困に陥りやすく,親子関係や夫婦関係にネガティブな影響を引き起こす可能性が指摘されています1)。また,産後うつや子癇前症と分娩後出血,妊娠高血圧症など産科合併症リスク,早産,低出生体重児,虐待リスクなども高まると報告されています1,4-5)。
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