特集 「私のからだは私のもの」から始める初期中絶のケア
避妊と人工妊娠中絶—Bodily Autonomyから考える女性の権利
池田 裕美枝
1,2,3
1一般社団法人SRHR Japan
2NPO法人女性医療ネットワーク
3医療法人心鹿会 海と空クリニック京都駅前院
pp.516-521
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202359
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SRHRとは
性と生殖に関する健康と権利(Sexual and Reproductive Health and Rights:SRHR)は,性や妊娠,出産に対して,健康であるだけでなく,産む・産まない,あるいはいつ,何人子どもを持つかについて自己決定できる権利を唱えたものです。セックスを安心して楽しめること,避妊や不妊治療について自由に選択できること,病気の予防や治療に容易にアクセスができること,また母子保健が充実し,十分で適切な育児支援が行われること。SRHRは,これら全てを保障する理念のことを指します1)。
私はこれまで,何人もの助産師さんが,妊娠・出産というイベントを,子どものために耐えるつらく苦しい経験ではなく,その人にとってかけがえのない素晴らしい経験となるようにサポートしているのを見てきました。一つの経験でも,そのとき周囲に誰がいて,本人とその人との関係性がどんなもので,どんな環境で経験したかによって,人生における意味合いが大きく異なります。これは,セックス(性交渉)という経験や,妊娠を目指す/目指さない経験,健康を保つ/病気と対峙するという経験でも,全く同じことです。
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