今月のニュース診断
十代の妊娠中絶について—安易な妊娠=中絶という〈暴力〉
加藤 秀一
1
1明治学院大学社会学部 社会学・性現象論
pp.94-95
発行日 2002年2月25日
Published Date 2002/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902811
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若者の中絶の増加
10代女性による妊娠中絶が増加している。80年代に入って漸増傾向が続いていたが,特に目立つのは96年以降の急増である。2000年の件数は44,477件,人口千人中の実施率は12.1で,いずれも週去最高を記録した。70年代末と比べると,総件数は半分近くまで減少しているのに,10代の中絶は逆に3倍に増加している。そのため,優生保護法施行後はほぼ一貫して減少してきた総件数が,99年には増加に転じた(以上,厚生労働省母体保護統計)。
厳密にいうと,20代前半の中絶率も同様の増加傾向を示しているから,10代後半からの10年間に行なわれる中絶がここ5年間で急増したということである。つまり90年にティーンエイジャーの仲間入りをした世代の女性,そしてその女性たちと性交した男性たちが,問題の直接の当事者であるということだ。
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