特集 「私のからだは私のもの」から始める初期中絶のケア
女性の社会経済的困難と人工妊娠中絶
瀬山 紀子
1
1埼玉大学ダイバーシティ推進センター
pp.530-533
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202361
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2020年3月,北海道江差町にある障害者就労支援施設で,知的障害がある女性がトイレで出産し,その後,子どもを死なせてしまう事件が起きた。女性は,2021年1月,函館地裁で「殺人罪」に問われ,懲役3年の実刑判決を受けた後,札幌高裁で保護観察付き執行猶予5年がつき,再び,元の施設で生活しているという。
障害のある女性たちの経験している複合差別解消に向けた取り組みをしているDPI女性障害者ネットワーク(以下,DWNJ)は,この事件の報道を受け,他の障害者団体などと共に,障害のある人に,性別や年齢に適した性に関する情報と,性教育を受ける機会を保障し,本人の決定に即した安全で配慮ある手段の提供を保障することと,障害のある人,特に女性たちが,性やからだに関わる健康や権利について相談できる場所を設け,相談しやすい環境を整えることなど,5項目の要望を記した要望書を国と北海道などに対して提出した1)。
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