特集 助産師のためのLGBTQ+/SOGI入門
LGBTQ+と医療
中塚 幹也
1,2
1岡山大学学術研究院保健学域
2岡山大学ジェンダークリニック
pp.422-425
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202335
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性同一性障害から性別不合へ
2022〜2024年は「性の多様性」に関連して日本社会は大きな変化を迎えており1),医療もその例外ではない。「出生時に割り当てられた性」と「性自認」とが一致しないトランスジェンダーの中には,ホルモン療法や手術療法で性別違和感が軽減し,生活の質(QOL)が向上する例が存在する2,3)。その場合の診断名が「性同一性障害(gender identity disorder:GID)」である。しかし,2022年に発効した世界保健機関(WHO)の「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第11版(ICD-11)」では,世界的な脱病理化の流れに沿ってgender incongruenceに改称され,日本語訳は「性別不合」の予定である。分類も「精神疾患」から外れ「性の健康に関連する状態」に移動した。
ICD-10の「性同一性障害」は「身体の性と性自認とが一致しない状態」であったが,ICD-11の「性別不合」は「出生時に割り当てられた性と実感する性別とが一致しない状態」と定義された3)。これは,医療が身体を本人の望む性別に近づけるだけではなく,社会が不一致による課題を解決しなければならないことを意味する。
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