書評
LGBTQ+の健康レポート—誰にとっても心地よい医療を実装するために
三田村 七福子
1
1社会医療法人誠光会 淡海医療センター 専門看護実践室
pp.138
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350020138
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社会的不可視性に挑む医療の未来
自律尊重の医療を誰にでも当たり前に提供するために
待望の書籍の発行
「やっとや……待ってました」。本書を手にできたとき,思わず口からこぼれた言葉です。しかし,拝読した直後から,「これを“当たり前”とできる医療者や医療施設が,いまの日本にどれだけ存在するのだろう」という懸念がどんどん膨れ上がっています。
数年前から,当院の倫理委員会や倫理コンサルテーションチームに,以下のような情報や相談がもたらされるようになりました。診察券やカルテの「名前・性別表記」の変更要請,性別と異なる臓器の記載が含まれる書類の扱い,入院病棟や大部屋の利用について等々。その都度議論しなんとか対応してきましたが,私たちに圧倒的に不足していたのが,データや根拠でした。
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