連載 ケースから学ぶ臨床倫理推論・17
LGBTQ患者への対応
新井 奈々
1
Nana ARAI
1
1東京大学医学部附属病院患者相談・臨床倫理センター
キーワード:
セクシュアリティ
,
セクシャルマイノリティ
,
LGBTQ
,
ノンバイナリー
,
医療アクセス
Keyword:
セクシュアリティ
,
セクシャルマイノリティ
,
LGBTQ
,
ノンバイナリー
,
医療アクセス
pp.322-326
発行日 2025年7月26日
Published Date 2025/7/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294040322
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case ①トイレの利用
25歳のAさんは,戸籍上は女性だが,日常生活では男性として生活しているトランスジェンダーである.外見や服装も男性的で,職場でも「男性」として扱われることが定着している.ある日,Aさんは腹部の不快感を自覚し,クリニックを受診した.問診票の性別欄は「男性」「女性」の二択で選択に迷い,保険証に合わせて「女性」に丸を付けた結果,受付スタッフから「ずいぶんと男性的なお名前(通称名)ですが,戸籍名は違うんですね」と大きな声で問いかけられ,周囲の視線が気になり動揺してしまった.
さらに,トイレを借りようと受付に声をかけたところ,「女性トイレ」を案内された.普段は男性トイレを使用しており強い違和感を抱くと同時に,「ここで女性トイレに入ったら周囲に変な目で見られるかもしれない」と困惑し,トイレを利用できなかった.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.