特集 産む人を中心にした帝王切開
帝王切開出産における助産師の役割とは—妊産婦と多職種連携のコーディネートと情報提供
横手 直美
1
1中部大学大学院生命健康科学研究科中部大学生命健康科学部
pp.381-387
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202176
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帝王切開出産の現状
わが国では出生数が漸減する一方,厚生労働省(2022)が発表した2020年度のデータによると1),一般病院の帝王切開分娩率は27.4%,一般診療所は14.7%であり,いずれにおいても帝王切開率は上昇しています。平均すると妊婦の4〜5人に1人に相当します。同年の出生数が84万835人でしたから,実数にすると1年間に17万人以上の女性が,腹部に約15センチの切開創をつくって子どもを出産しているのです。
こころにもキズを抱えている女性も多く,帝王切開出産をした女性の心理は,手術適応や緊急度で大きく変わります。例えば緊急帝王切開では,出産に対する期待が裏切られたショック,喪失感や自責感といった強い否定的感情,出産に起因したトラウマ体験や産後うつを有しやすいということを国内外の研究が示しています2,3)。このように,帝王切開出産が増加し,女性のケア・ニーズも心身ともに高くなっています。
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