特別記事
子ども=古代人を仰ぎ見る—「えんえん」と医の淵源
津田 篤太郎
1
1新潟医療福祉大学リハビリテーション学部鍼灸健康学科
pp.162-166
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202131
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三木成夫は進歩史観?
解剖学者・三木成夫の講義録『内臓とこころ』(河出文庫)のなかに,一枚の印象的なシェーマがある。猿人・原人・旧人・現生人類の順に,過去から現在にかけて人類の進化を列記した左側の軸と,0歳,1歳,2歳……と子どもが誕生し成長していく様子を示した右側の軸が並んで対照させてある図である[図]。
「個体発生は系統発生を繰り返す」という生物学の有名なことわざがあって,受精卵から出産までの成長の様子は,地球上に生命が出現してから哺乳類や類人猿になるまでの歴史のダイジェスト版のようなもの,といわれるが,三木は誕生後も歴史の“早回し”が続く,と言っているかのようである。すなわち,子どもが誕生し成長していくさまは,人類の歴史の轍をたどるがごときものである,と。
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