連載 日本の「助産師職」のルーツを究める旅をご一緒に 産科医・楠田謙藏氏による産婆支援の足跡を追って・3
国家が「産婆の者共」と名指した女性たち
吉村 典子
pp.340-345
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202023
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明治初期の衛生行政,特に「産婆」の歴史
明治新政府が布達した「産婆取締規則」
1867(明治元)年12月24日に布達されたその「規則」は,「近来産婆の者共,売女の世話または堕胎の取扱等を致す者があると聞く……」と呼び掛け,「…以ての外であり,決してそのような世話をするな。もし,万一そのような所業が有るときは,取り調べの上,きっと,お咎めがあるから,心得ておけ」(筆者意訳)と,大変高圧的な文言を並べている。
では,「産婆取締規則」の「産婆の者共」とは誰を指すのか。文献と調査から,筆者は次のように考える。
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