連載 りれー随筆・444
学生の気付きに目を向けて
藤本 綾子
1
1関西医科大学 看護学部
pp.112-113
発行日 2022年2月25日
Published Date 2022/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201978
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今回,勤務助産師時代にお世話になった先輩にお声掛けいただき,本稿執筆の機会を得た。何を書こうかいろいろ悩んだ末に,今の自分の気持ちを素直に書こうと思い至った。ご縁があって大学教員の職に就いて5年目,まだまだ若輩者ではあるが,これまでの実習指導や学生の様子を通して感じた率直な思いを,少しお話しさせていただければと思う。
振り返ってみるとこの4年間,母性看護実習に携わる期間がとても長かった。COVID-19の影響が大きかった年を除き,1年のおよそ半分は学生たちと一緒に,母子に関わる病棟で実習をしている。実際の実習の様子は,自分たちが実習していた頃と大きな差はないように思う。多くの学生が出産後の母子を受け持ち,バイタルサインの測定や授乳の見学,沐浴指導や退院指導の見学をしている。学生たちは,実習開始時は緊張が強く,病棟での挨拶を事前に準備し練習して臨む姿がほほ笑ましくもある。実習中もあわただしい病棟の雰囲気に圧倒され,みな一様に表情が硬いことが多いが,私の立場から見ると,短い実習期間でも受け持ち対象者と話すのが好きな人,新生児がかわいくて仕方ない人,病態に目が行きがちな人,ウェルネス思考に苦手意識の強い人など,少しずつ学生の様子が見えてくるのがとても楽しい瞬間である。
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